ⓔコラム5-35-2 cough hypersensitivity syndrome (CHS)

 最近,cough hypersensitivity syndrome (CHS) という新しい概念が提唱されている.これは,従来の「原因疾患に基づく咳」という考え方ではなく,原因疾患によらない共通の病態に基づく咳過敏状態という概念であり,「低レベルの温度・機械的・化学的刺激を契機に生じる難治性の咳を呈する臨床症候群」と定義されている.すなわち,CHSが基本病態であって,従来の原因とされた疾患はトリガーにすぎないという考え方である.CHSにはtransient receptor potential チャネルファミリーが関与する求心性知覚神経の過敏や中枢神経系の関与が想定されている.

〔大石展也〕

■文献

  1. 日本呼吸器学会咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019.メディカルレビュー社,2019.